昨日の続きです。
HTTPレスポンス全体?
Abstract(要約)の一節です。
regular expressions are not run across the full HTTP response
対訳は下記のようになっています。
正規表現はHTTPレスポンス全体に亘っては実行されない。
なんとなくですが、”the full HTTP response”は決まり文句?のように思い、「HTTPレスポンス全体」という表現に違和感を感じました。
HTTPとは、WebサーバとWebブラウザがデータをやり取りするときの取り決めのようなものです。Webブラウザは見たい情報、例えばホームページのURL(http://yahoo.co.jp)を「HTTPリクエスト」という形でWebサーバに送り、Webサーバは「HTTPレスポンス」で答えます。このやりとりでWebブラウザは要求したURLのページを見ることができます。
HTTPリクエストやHTTPレスポンスには2つの形式が規定されています。1つはフルリクエストまたフルレスポンス、もう1つは単純リクエストまた単純レスポンスです。
また、請求項8は要約とほぼ同じ内容ですが、”the full HTTP request”は「HTTPリクエスト全体」ではなく「フルHTTPリクエスト」と訳出されています。
ということは、訳語が同じ明細書の中で一貫していないように見えます。
気づきと反省
同じ語はなるべく一貫して翻訳し、用語の使い方は揺れがないように気を付けたいです。
検索をかけまくっても、フルTTPリクエスト、フルHTTPレスポンスという語を使った日本語の記事がほとんど見当たらず、コーパスとしてGoogleを使うのはいいけれど、どうしても見つからないときにどうするか、プロの翻訳者としてどう訳すのか判断が求められますね。そこで実力の差が出そう。
HTTPのような基礎的な知識をふわっと理解していたつもりでしたが、人に説明するとなると、あまりIT用語を使わず平易に、かつ誤解を避けるにはどうしたらいいのだろうと結構悩みました。それで、パワポで簡単な図解を描くなど工夫しました。前回のクロスサイトスクリプティングもそうでしたが、なんとなく知っている状態と、しっかり人に説明できるレベルにするのはかなーり隔たりがありますね。